時を超え安藤昌益先生をたずねて
「時を超え」とは言うものの,つい先ごろとも思える十八世紀の初め,安藤昌益は大館近郊の二井田に生まれた。謎の多い北東北の思想家の語る言葉に日々耳を傾けてみる。(管理人判断でコメント等は随時削除)
今度は目鼻と感情が全てつながってくるという話が
「瞼(目と包)ハ非情・喜情ノ根,鼻ハ理情・驚情ノ根,互性ナリ。」(大序巻17-66)

 まぶたが非情と喜情の源泉となる場所で,鼻が理情と驚情の源になるところ,と聞いただけで『ナンノコッチャ?』という気持ちになるだろう。
 さらに,唇が怒情と意情の根っこだというから,つまりは顔の目鼻などの器官が人間の様々な情念一つ一つを産み出しているという話になる。それが,目玉や歯,耳穴や舌になると,魂やら神やらの根っことされるのだから,もっと高い次元の人倫に結びついている器官だということになってくる。
 なにやら,情念をすべて身体の各部位に結びつけたデカルトの「情念論」を思い起こすのだが,言っていることはまるで反対で,昌益の場合は,顔の各部分が情念の源であり原因であるという主張になってくる。
【2009/06/29 21:13】 | 日本思想 | トラックバック(0) | コメント(0) |
顔の目鼻と身体の各部分は全部つながっていて
「瞼(耳に包の字)ハ左ノ足ノ根,耳(耳に侖の字)ハ右ノ足ノ根,互性ナリ。目玉(一文字)ハ小腹ノ根,云々」(大序巻17-65

 目や鼻と身体の各部分とのつながりを見ると,まぶたは左足,耳は右足,目玉は小腹で,耳穴が腰,唇は左手で鼻は右手,舌は胸で歯はうなじ・・・という組み合わせだという。このへんは,フーンと,感心して聞くしかあるまい。特に,「唇が右手で鼻が左手」というところが,いくらか感覚として分かる気がするような。
 しかし,このような関係かどうかは別として,顔にある感覚器官の端末(?)と身体の各部分とが結びついているという発想は,これは現代人には考えつかない見方には間違いない。非科学的で論理性もない戯れ言のようにも聞こえるものの,身体感覚として記憶に残ったりもする。
【2009/06/29 06:11】 | 日本思想 | トラックバック(0) | コメント(0) |
舌は天の太陽にあたるから口の中心に
「是レガ人ニ来リテ舌歯ニ具ハル,故ニ舌ハ口ノ中分ニ有りて,歯ハ舌の外,口ノ八方ノ分ニ有リ。」(大序巻17-64)

 転(天)の中心は太陽でその周りを星々が「八方」を巡っている。その構造がそのまま人(の口)に来ている,という発想自体が,もはやついて行ける人が少ないかも知れない。しかし,昌益先生はそのように発想する。天だって大地だって生き物だって人だって,すべて同じ原理で造られていると常に考えている。
 それにしても,舌が心臓と結びついて太陽のような働きをし,歯は肺と結びついて星々のような働きをしている,という体内感覚はイメージするのにも一苦労する。この部分には生活に根ざして考え続けた人の,紛れもない独創的な感覚が息づいている。 
【2009/06/26 06:07】 | 日本思想 | トラックバック(0) | コメント(0) |
舌は晩夏の実りを味わい
「然シテ舌ハ退火・退夏・穀ノ実リ生ズルノ備ハリナリ。故ニ歯ノ内ニ有リテ,其ノ性ハ歯ニ至リテ動動トシテ咬マシムルナリ。」(大序巻17-63)

 舌は歯の中にあって絶えず動き回りながら”噛む”という栄養摂取に欠かせない営みを助けるという,実に生理学的に(?)正しい観察と言える。もちろん,舌には”味わう”というもう一つの栄養摂取に欠かせない働きがあるが,これは逆に歯がかみ砕くことによって舌に送り込んで味わわせるという説明が後に続く。
 こういう舌と歯の関係が季節の移ろいになぞらえられ,自然と人体とが関わり合うように動いているという感覚は,現代の我々には遠くなったのかも知れない
【2009/06/25 06:54】 | 日本思想 | トラックバック(0) | コメント(0) |
金星と太陽には神が宿る
「故ニ転神ハ日ト星ト互性ニシテ,照ラシハ火ノ性,光リハ金ノ性,火金互性ニシテ,転神昼ヲ主ルナリ。」(大序巻17-63)

 太陽と金星が「互性」だというのは,現代人には理解しにくい発想ではある。それというのも,太陽は「火」の性をもち,金星は「金」の性をもつからだというのも,多少こじつけに見える。昌益先生のアタマの中では,「火」と「金」の性がかけ合わされなければ,真夏の日中の強烈な照り輝きは出てこない,という理屈が働いていたのかも知れない。
 何はともあれ,それだから天を支配しているのは太陽と,そして金星だということになり,太陽と金星には天を司る神が宿るから,心臓と同じ位置づけが与えられる。
【2009/06/08 07:00】 | 日本思想 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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安藤昌益の言葉を日々少しずつ聞き取りながら,その真に意味するところについて,自ら問いかける試みを続けてみます。

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